2011年1月27日木曜日

発表者・聴衆に心理的負担をかけないための修論・卒論のカンタンなプレゼンの作り方

先日、私の所属する学科で修論の発表会が執り行われました.

その中にはいい発表、悪い発表と色々あって、

発表者がそれに向けてどれだけ労力を費やしてきたかが聞いていてよくわかりました.

「いい発表」とは聴衆にしっかり発表内容を伝えられるもの、というのは当然だと思いますが、

内容をしっかり伝えるためには聴衆に不安感を抱かせないこと、

言ってしまえば理解するために多くを考えさせるような心理的負担を強いないことが重要です.


と、いうわけで何年か卒論・修論のスライド・原稿作りを手伝ってきた上で分かったことをメモっておきます.

そんなの当たり前だろ、と思われる事項が多いかもしれませんが、これが意外と守られていないことが多いと思います.

独りよがりの発表にしないためにも、これらの原則を順守することは基本的ではありますが重要なことなのです.

(この記事は主に理系の発表を対象として書きました. また、ベータ版ですので後々情報を書きたしていくことになると思います.)


0からのスライドの作り方】


ここでは、powerpointなどで発表用スライドをまだ用意していない、という

人のためにカンタンに発表用スライドの作り方の手順を説明します.

聴衆に不安感を抱かせない、という部分とは直接関係しないので読み飛ばしても構いません.

スライドは最初のうちはあまりレイアウトに凝ろうとはせずに、

いろいろと必要なグラフなり表なりを放り込んでいって、

最終的な推敲の段階で綺麗に仕上げればいいと思います.


発表の順序をカンタンに言うと、一般的には


背景目的方法結果考察結論


となり、この流れは学術論文と同じです.

この中で最も作るのが難しいのはどう考えても「背景」.

背景は結論に持っていくために必要な情報を導入として与えるものなので、

最終的な主張によって説明すべき内容が変わってきます.

したがって「背景」のスライドから順に作っていこうとするとほとんどの場合息切れします.

逆に最も作るのがカンタンなのは「結果」.

結果から言うべきこと、というのはスライドに取り掛かる時点ではもう決まっているはずです.

というわけでスライドを作る順序は


結果→考察→結論→目的→方法→背景


がスムーズでいいと思います.

では、それぞれの項目についてポイントをカンタンにまとめてみます.


1.結果・考察

発表時間を考慮して、結果の説明に必要な分量のグラフ・表を放り込んでいきます.

どのグラフを切り捨てるべきか、あるいはどれとどれを統合すべきかは考えどころです.


2.結論

結果・考察から言えることを1〜2文でまとめます.

あまり長くなりすぎると主張が際立たなくなるのでなるべく簡潔に.


3.目的

ここでは聴衆に目的意識を与えなければならないので、結論に呼応するような形式の文章にしてください.

基本的なことですが、論文のタイトルに含まれるキーワードは必ず必要です.


4.方法

結果を説明するために必要な情報をなるべく“過不足なく”説明します.

過不足なく、というところが重要で、結果で示す項目については方法の章で必ず説明する必要がありま.

測定はしたが発表時間の都合上結果として示さない、という作戦はまあアリかもしれません.


5.背景

鬼門の背景.

ここでは研究の目的につなげるためのストーリーを筋道立てて説明しなくてはなりません.

既往の文献などを織りまぜて勉強してきたことをアピールしつつ、

これまでの成果において不十分な点を明確にする必要があります.

一概にどのような組み立てがベストか、ということは言えません.

ここは本当に考えどころなので、指導教官など他人との議論の上で醸成していかなくてはなりません.

【スライド作りの原則】


ここではスライド作りの原則について、聴衆の立場を考慮した上で説明します.

プレゼンテーションには限られた時間の中で理解してもらうという必要条件があります.

そのため、論文で述べられるような表現をそのまま転用するのは好ましくありません.

短時間で理解してもらうためには余計な情報をカットしていく必要があります.


・スライドのデザイン


まずはデザインについてカンタンに.

powerpointにデフォルトで入っているスライドデザインのテンプレートを使うと、

多くの場合下図のようにタイトルのスペースがどうしても広くなってしまい、

グラフ記載に割けるスペースがどうしても狭くなってしまいます.


















そのため、なるべくタイトルスペースを自分でいじれるようなテンプレートを利用するか、

あるいは自分で作るのがよいと思われます.

ちなみに背景は白地のものがオススメです.

白地にしておくことで、アニメーションを駆使しながら図で説明を入れるときに、

白塗りの図形を全面でかぶせる、という裏技がつかえるようになります.


・文章で説明する場合

 

文章中心のスライドの作り方の例として下のスライドに示します.(内容は気にしないでください())


















主に注意すべきことは

 ・文字はなるべく大きく. 最低でも18pt

 ・キーワードは色を変えて目立たせる

 ・文節の切れ目のところで改行を入れる

といったところ.

これに気を配るだけで間違いなく聴衆側にとって見やすいスライドとなります.


・グラフで説明する場合


グラフ中心のスライドの例を下に示します.



















主に注意すべきことは

・グラフはなるべく大きく. 3つ以上のグラフを1枚のスライドに記載するのはなるべく控える.

特に軸の数値が小さくなってしまいがちなので気をつける.

・カテゴリが2つ存在する場合、暖色系と寒色系で分けて説明する.

 折れ線グラフの場合は塗りつぶしと白抜きのマーカーの使い分けでもよい.

・グラフから言えることをスライドに直接書きこむと主張が分かりやすい.


グラフは文章に比べて理解してもらうのに時間がかかります.

そのため、レイアウトには細心の注意を払うことが必要です.


【原稿作りの原則】


「原稿なんて不要.聴衆に面と向かって語りかけたほうがいい!」という考えの人もいるとは思いますが、

とくに私みたいな小心者にとっては原稿が無いとどうしてもテンパリがちになってしまいます.

また、発表の場では原稿を読まないにしても、一度しっかりした原稿を作った上で

それを頭の中に叩き込んでから発表に望んだほうがよい発表ができると思います.

そこで、基本的な原稿の作り方の原則について説明していきます.


原稿の基本は、スライドとの整合性を保つこと.

見ていることとずれた内容を話されてしまうと聴衆はパニックに陥ってしまいます.

そこでスライドの内容通りの説明を展開していく必要があります.

その際に特に注意すべき点を下に示していきます.


・説明の長さは文字・図の分量に比例させる

 スライド1枚の分量の目安は約30秒~1分強.

 2分ぐらいかけてだらだら話してしまうと発表全体のリズム感が崩れてしまうので

 文書の統合、表現の工夫などを駆使してできるだけ避けましょう.

 面接時のスピーチの目安となる字数が300/分と言われているので、

 1枚のスライドにつきおよそ150300字程度が目安になると思います.


・接続詞を使う.

 文章の流れをしっかり汲みとってもらうためには文と文のつながりを意識させることが必要です.

 「そこで・・・」「従って・・・」「一方・・・」などの接続詞があると聴衆は話の展開を追いやすく、

 全体的な論理の組み立てを意識してもらうことができます.

 特にスライドを切り替える場面では、前のスライドとのつながりを認識してもらうために

 適切な接続詞をはさんで上げることが重要となります.


・スライドに登場する順番通りに説明する. 発表の順番は左上から右下.

 スライドを説明する際、ポインタを使ってに注目してもらいたい部分を示すという手がありますが、

 指し示す箇所があちこちに飛んでしまうと、聴衆はその後のスライドの見方に不安を覚えてしまいます.

 そのため、なるべく左上から右下へという順で説明することを心がけましょう.

 レイアウトの都合上、どうしても説明順とスライドの記載順に齟齬が出てしまう場合には

 アニメーションを使って後から登場させる、という戦術が使えます.


・スライドに書かれていない用語は言わない.

 スライド中で使われている用語と別の用語を使って説明すると聴衆は混乱します.

 例えばスライド中には「女子高生」と書かれているのに、スピーチでは「JK」などと呼んでしまうと、

 たとえ聴衆はその単語を知っていたとしても、単語の理解に余計なリソースを費やしてしまいます.


・普段使わないような高等表現、専門用語はなるべく避ける

 短時間で聴衆に発表内容を伝えるためには、普段聞き慣れない用語を濫用するのはあまり好ましくありません.

 そのため、なるべく平易な表現で説明することを心がけてください.


・文の主語をはっきりさせる

 これは私の教授がよく口にされることなのですが、

 日本語には英語とは違って文章の主語を省略するという風習があり、

 そのため説明の主題が曖昧になってしまうことがよく起こります.

 その文で説明したいことの主語はなんなのかをはっきりと述べた上で、

 主語に対応した述語(能動態なのか、受動態なのかを含め)を選択する必要があります.


スライドの切り替わりのところで間を持たせる

 細かいことではありますが、スライドの切り替わりのところで12秒の間があると、

 その間に前のスライドの内容を頭の中で整理することができ、

 さらに次のスライドの概観を捉えることができるので、

 この間があるというだけで聴衆は安心してスピーチに聞き入ることができます.


・グラフの説明何のグラフなのか、横軸・縦軸が何を表しているのか→凡例の順に説明

 グラフは発表スライドの核となる部分です.

 これを理解してもらえるかどうかで発表が理解されたかどうかが決まります.

 まずは何を表すグラフなのかを明確にし、縦軸・横軸が表すものを説明する必要があります.

 また、もしグラフの軸が対数スケールであるならば、そのことについても言及しておくことが大切です.

 凡例についても上から順に何を表しているかをはっきり口頭で述べましょう.

 内容の説明はそれから.


・結論のスライド目的と結果を呼応させる.

 これは数学の証明問題と一緒です.

 「△ABC≡△DEFであることを証明せよ」という問いに対して、

 解答の末尾を「・・・以上より、△ABC≡△DEFである」という形にすると非常に締まりが出るのと同様に、

 目的に呼応させた結論をしっかり述べましょう.

 終わりよければすべてよし、ということで発表全体に締りが発生します.

 

ちなみに個人的には目的までにいたるまでの説明がスムーズにいくかどうかで、

 だいたいその発表が良いか悪いかの判断がつきます.

 目的までで上記の原則に従って論理展開ができていれば、

 その先示される結果のどこに着目すべきかが見えてくるのです.


最後に

 繰り返しになりますが、以上列挙した原則はあくまで聴衆者に内容を理解してもらいやすくするためのテクニックです.

 もっと細かいテクニックなどは以下のサイトを参考にするといいと思います.


わかった気にさせる研究発表スライドを作る たった1つのルールとそれを実現させる4つの方法 - music, statistics, and my life -


良いプレゼンと悪いプレゼン


現時点で考えられる点をまとめてみた程度のものなので、また追加事項があれば更新していきたいと思います.

2011年1月23日日曜日

HTC Desire画面キャプチャ手順

スマートフォンのGTDアイテムの記事を書くためにAndroid端末の画面キャプチャができたらいいな…
と思っていろいろとサイトを漁ってみたのですが、達成するまでこれがまあなかなか大変でした.
この方法についてはすでに色々なブログ記事で紹介されているのですが、
 ・ソフトウェアがアップデートされているため一部不具合が発生する
 ・情報が断片化されている
などの難点があって、最適手順が一発で見当たらなかったのがタイムロスの原因だったように思います.

ということで、もしかしたらどこかの誰かさんにとってニーズがあるかも、と思ったので
HTC Desire(X06HT)
のスクリーンキャプチャ手順についてまとめてみたいと思います.
ただし、この方法はあくまで

 2011年1月22日現在において
 OSがWindows Vista SP2のデスクトップに
 HTC Desire(X06HT)のスクリーンショットを導入する

ために行った方法なので、他の条件下では不具合が生じる可能性があります、ご注意を.


HTC SyncはPCと端末のデータを同期するソフトウェア.
ちなみに上記ページには「製品のシリアル番号はどこに記載されていますか?」とのリンクがありますが、これをポチるとなんと「404 Page not Found.」と表示されます.
製品のシリアル番号は端末の「メニュー」→「設定」→「この携帯電話について」→「電話ID」から確認できます.
さてこれで完了、と思いきや、このままではUSBを介してPC接続してもHTC Syncが認識されません。
これにはどうも「COMポートの追加」が必要なようです.
手順は以下のとおりです.

「ハードウェアの追加」 「ハードウェアの追加ウィザードの開始」で「はい、ハードウェアを接続していま す」を選択し「次へ」
 「新しいハードウェアデバイスの追加」を選択し「次へ」
 「一覧から選択したハードウェアをインストールする」を選択し「次へ」
 「ポート(COM と LPT)」を選択し、「次へ」 右側のリストで「通信ポート」を選択し、「次へ」
 最後にPCを再起動してCOMポートをインストール


2. Android SDKをインストール

Androidの開発キット。
Android SDK | Android Developersからinstaller_r08-windows.exeをダウンロード&インストール。
ここで、zipファイルの方からインストールすると、後にバッチファイルを実行するときに
Javaが認識されないエラーが発生してうまく行きませんでした。
SDKのセットアップ手順は基本的には

に従います.ただしこの時点から多少のバージョンアップがあったようなので変更点を加えておきます.
Settingsメニューから「Misc」の「Force https://...sources to be fetched using http://...」と「Ask before restarting ADB」にチェック.
Available PackagesメニューからAndroid Repositoryにチェックを入れて、「Install Selected」ボタンをクリックし、Accept AllからInstall.

つぎに環境変数の設定を行います.
コントロールパネルの「システム」-「システムの詳細設定(A)」からシステムのプロパティを開いて「環境変数(N)」をクリック.
システム環境変数の編集ウィンドウで変数名「Path」を開き、「変数値」のところに先ほどインストールしたandroid-sdk-windowsフォルダ内の
toolsフォルダのパス「C:\Users\ユーザー名\android\android-sdk-windows\tools;」を追加.

これでSDKのインストールは完了.
android-sdk-windowsのフォルダ内にgoogle-usb_driverのフォルダが作成されているはずです.

3. ドライバ情報の追加とbatファイルの起動
 
先述のgoogle-usb_driverフォルダ内のandroid_usb.infをメモ帳などで開き、
[Google.NTx86]のセクションに、Desire端末の情報として

;
; HTC Desire
%SingleAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87
%CompositeAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87&MI_01

を追加.

次に、android-sdk-windows\tools内のddms.batを選択し、Dalvik Debug Monitorを起動.
Nameに表示されているシリアル番号を選択し、メニューバーの「Device」から「Screen Capture...」を選択.


これでキャプチャ用ウインドウが表示され、
←のようにホーム画面をキャプチャすることができます.





参考サイト: