2008年8月30日土曜日

学会終了

8/25から30にかけて秋田開催の農業農村工学会に行って参りました。
人生初、学会発表たるものをやったのですが、
聴衆者からの反応がいまいちだったのでちょっと拍子抜けといった感じでした。
質問の内容自体も「自分の研究をわかっているのか」と試してくるようなものだったので
内容を聴衆者にしっかり理解してもらえたという実感もありません。

で、前回も書きましたがこのまま東京大学の博士課程に行くのかどうかについて
少なくともこの学会中に結論を出そうとかんがえておりました。
結論として博士課程に行くことに決意いたしました。
っていうか行かざるを得ないような状況になりました、
というべきなのかもしれません。
以下、その経緯について述べておきます。

今悩んでいる点は次の通りです。
一応悩みのランクとしては上から順番という感じです。
・自分のやっている研究が本当に価値のあるものなのかということ
・同期の修士課程の人たちに比べて知識欲が無いように感じていること
・実際にプロの研究者になったときにやりくりしていくことができるかということ

それぞれについて、学会期間中にどのような考えを持つに至ったかについて述べます。


自分のやっている研究が本当に価値のあるものなのかということ


これについてはすっきり解決しました。

今現在の研究テーマというのは畑の洪水緩和機能というものです。
学会参加前の時点では洪水というテーマが自分にとってあまりなじみが無く、
このテーマ自体、研究室の先輩からの引継ぎという形でもらったテーマであるため、
研究としての価値のあるテーマなのかについてずっと疑問に思っていました。
しかし、ちょうど学会期間中に集中豪雨を経験することがあり、
ニュースでもゲリラ豪雨による洪水被害が特集として報道されるなど、
「洪水」というテーマは今非常に注目を浴びているものだということが実感できました。
そして今後も「洪水」は日本だけでなく世界の環境問題として
ますますクローズアップされることは間違いない。
そこで農地の多面的機能の一つである洪水緩和機能を発揮させることによって
うまく洪水を回避する方法を考えることが重要になってくる。
そのためにはまず農地の洪水緩和機能を定量的に把握することが重要であり、
自分はその役割を担っているんだ、ということを実感しました。

さらに、畑の洪水緩和機能を研究している人間は
学会内でも自分ひとりしかいませんでした。
ということは研究としての需要は十二分にあるし、
オリジナリティも十分にある。
さらには台地上、平坦状などいろいろな畑の洪水緩和機能のデータを収集する、
というこの先の研究の流れも見えてきた。

あと洪水問題の権威である農工研の増本先生、神戸大学の田中丸先生が
洪水問題の今後のビジョンをしっかりと提示してくださっていたので、
研究の行くべき方向性が見えてきたような気もしています。

ただ、今後は食糧問題に直接関わるようなこともやりたいと思っているので、
新たな研究テーマも模索していきたいとは思っています。


同期の修士課程の人たちに比べて知識欲が無いように感じていること


確かに私は知識そのものや知識欲自体が回りに比べて少ないと感じてしまうことが多々あり、
そのコンプレックスは学会中には拭い去ることはできませんでした。
しかし、くだらないことでもどんどん質問していこう、
というド素人的なスタンスでのぞんでいけたので知識吸収の意欲は積極的に示せていけたかと思います。

また、去年に比べて自分が成長したと思ったことは
口頭発表に対する先生たちの質問のレベルってそんなに高いものではないな、と思えたところです。
ということは自分のやっている学問そのものが見え始めてきているのかな、と。
つまり、確かに修士1年の頃は勉強不足だったのかもしれませんが、
確実に去年に比べて自分が成長できていると感じられている分、
そんなに自分自身の研究者としての能力について憂う必要もないのかな、と思いました。

こういう明るい気持ちになることができたのも、
斉藤孝著『座右のニーチェ』を読んだからだと思います。
まあニーチェについてはまた改めてまとめる予定です。


実際にプロの研究者になったときにやりくりしていくことができるかということ

これについてはまだはっきりとした答えはわかりません。
研究者を職業としてやっていけるかどうか、というのは
金銭的な問題と研究へのやりがいとのバランス、という問題なのでしょうが、
今回研究のプロの人々の発表を聞いている限りでは、
みんなそれぞれプロ意識を持って楽しく研究しているな、と感じることができたし、
研究に没頭しすぎて不健康そうな人も全く見かけなかった。

みんななんとかなっているような気がします。


ところで、今回は学会の直後に、
学生主体で学問を考えるセミナーというものに参加してきました。
参加者が所属している農業農村工学会というのは
農村計画、水理、土壌物理、土質力学、材料施工、生態環境、環境保全
と、テーマが多岐にわたっており、もちろん参加メンバーの専門も人それぞれでした。
そんなさまざまな人種が一堂に会して取り組んだテーマは
「秋田県八郎潟の未来を考える」という農村計画学的なものでした。

そこでみんなそれぞれの知識を生かして八郎潟が抱えている問題への対処策を披露しあったのですが、
今自分がこのセミナーに参加している意味は何なのか、
そして、なぜ水文学を専門としている自分が農村計画学を考えなければならないのか
について全く結論を出すことができていないことに気づきました。
自分の行っている研究はサイエンスだから農業農村の抱える問題は関係ない、
と思い込んでいたのですが、
セミナーに帯同していた、とある助教の先生によるとそれは全く違う、と。
そこで初めて、自分は自分の所属している学問分野について何もわかっていないんだな、
ということを思い知らされました。

というわけで
博士進学試験までに
・自分が所属している学会は学問としてどのような位置づけなのか
・自分の研究テーマは学会の中でどのような位置づけなのか
について結論を出さなければいけないな、と強く感じました。
でもって来年のセミナーを企画することになりましたので
否が応でもこのことにけりをつけなければなりません。


最後に一つ。
最近ダイエットをして体重を4kgほど落としていたのですが
学会での5日連続の飲み会で体重が元に戻ってしまいました。
っちゅうわけで明日からダイエット開始・・・orz